遥か昔。
　地球という星が誕生して、間もない頃。
　その行く末を案じる神様がいた。

「こいつは、どうなってんだ？」
　炎の神は首を傾げた。
「……普通じゃないね。あらゆる世界の歪みが集まってる。いずれこの星は、異世界を繋ぐ特異点になるよ」
　氷の神は悲しそうに、地球の未来を憂いた。
「そんなことになったら、大戦争が起こるだろうよ。俺たちドラゴッドが何のために、世界を分けたと思っていやがる」
「でも多分、様々な世界を作った反動でこの歪みは発生したんだ」
「なら、やっぱり俺らでどうにかするしかねぇか」
「うん。この星には“人間”という知的生物が現れる。世界の均衡を維持するために、僕らで彼らを導こう。繋がってしまった異世界と共存できるように」
「だが、それだけじゃダメだ」
「そうだね。世界の悪意もここに集まる」
「悪意に対抗するための、“未来を切り開く力”が必要だ」
「探そう。その力を持つ者は、必ずこの星に誕生するよ」
　二柱の神は決心する。
　そして、後ろを振り返った。

「で、あんたはどうするよ？」

◇ 　　　　◇　　　　　◇

「このオレに、外からの来客だと？」
　アンク王国第一王子、《アレクサンドル・アンク（通称アレク）》は眉をひそめた。国王である父ではなく、まだ成人もしていないアレクに外部からの来客は珍しいことだった。
「まぁよい。広間に通せ」
　アレクは召使いに指示すると、すぐさま正装に身を包んで広間へと向かった。
　長い廊下を抜けて広間に入ると、コートを着た白髪の男がアレクを待っていた。
　アレクは豪華な玉座に腰かけると、来客に声をかける。
「余はアンク王国第一王子、アレクサンドル・アンクである。この余を呼びつけるとは、貴様は何者だ？」
　男はアレクを前にしてもなお、余裕ありげな微笑をたたえたまま、まるで試すように言葉を返した。
「《臥炎キョウヤ》、と言えばわかるかな？」
　その名前に、アレクは心当たりがあった。
「臥炎、キョウヤだと？　……知っている。かつて世界を壊そうとし、未門牙王に敗れて姿を消した、敗北者の名だ」
「そういう君は、その息子である未門友牙に敗北した。私たちは似た者同士かもしれないね？」
「……貴様、余を愚弄しに来たのか？」
「とんでもない。私は君と世間話をしに来ただけさ」
「ふん。父上ではなく、余と話すことがあると？」
「ああ。正確には、君と“ドラゴッド”にね」
「ほう」
　しばしの睨みあいが続いた後、アレクが指を鳴らす。すると、玉座の両脇に、２体のドラゴンが姿を現した。
「俺らに話ってぇのは」
　炎を身に纏った竜がそう言うと、
「どういうことかな？」
　氷を身に纏った竜が言葉を続けた。
「《炎神マグマ・ホルス》に《氷神フリーザ・ホルス》。お目にかかれて光栄だよ。アレクサンドル・アンクのバディにして、代々アンク王国に仕えるドラゴッド。いや、本来は逆か。“ドラゴッドと共にあるためにアンク王国が作られた”んだからね」
「……ッ！」
　キョウヤの言葉に、アレクたちの目つきが変わる。
　このキョウヤという男が、自分たちの想像以上の人物だと、今の一言で分かったからだ。
「アンク王国はドラゴッドの力を借りることで栄えた国だ。地球が異世界とつながり始めた時も、その知恵と力で、混乱状態にあった各国を導き、一目置かれる国となった」
　キョウヤはここまで話すと、一呼吸おいて本題を切り出す。

「ではなぜ、ドラゴッドはアンク王国に仕えているんだろうね？」

「……何が言いたい」
「いや、ドラゴッドの目的がわからないと思ってね。圧倒的な力を持ちながら、なぜ地球の、しかも一国家に従う立場にあるのか」
　その問いに、当事者である２柱の神が返答する。
「俺たちは遥か昔から人と共に歩んできた」
「アンク王国はその象徴。だからこそ、僕らは王家に仕えている」
　自分たちに矛先が向いたことで身構えるフリーザ・ホルスとマグマ・ホルスだったが、そんな彼らをしり目に、キョウヤはあっさりと話を変えた。
「なるほど。では、今度は別の話をしようか」
「別の話だと？」
　意味ありげに問うてきたわりに、押し返したらあっさりと引き下がる。アレクたちはキョウヤという男をいまだ掴めずにいた。
「実は近年、世界各地で凶悪なモンスターが突然現れる事件が増えていてね。私は仲間達と共に、この事件を追っているんだ。そしてつい最近、ある大事件が起きた」
「……ロストワールドか」
　その話はアレクの耳にも届いていた。ロストワールドなる、本来繋がるはずのない異次元との門が開いたと。
「そう。かつてドラゴッドたちによって封印されたとされる、ヴァニティ・骸・デストロイヤーが地球に現れた。私はね、これらの事件には共通の犯人がいると思っているんだ」
　キョウヤはマグマ・ホルスとフリーザ・ホルスを交互に見る。

「いったい誰が、ヴァニティの封印を解いたのかな？」

　ドラゴッドの目的。ヴァニティの解放。キョウヤの言わんとしていることを理解したマグマ・ホルスとフリーザ・ホルスは、彼を睨みつける。
「はーん、話が読めてきたぞ。お前、俺らを疑ってやがるのか」
「僕らは人々を守る神。そんなことするはずないよ」
　２柱の反論には言葉を返さず、キョウヤはアレクに問いかけた。
「アレクサンドル・アンク。君はどう思うかな？　ドラゴッドによって封印されたヴァニティを解き放つことができるのは、ドラゴッドだけだとは思わないかい？」
「愚問だな。たとえそうだとして、我がバディには何も関わりがないことだ」
「神がなぜアンク王国に仕えているのか、その理由に疑問を抱かないと？」
「当然。我がバディの心は常に余と共にある」
　アレクは一切の迷いなく、そう言ってのけた。
　その意志の強さを察したのか、キョウヤはそれ以上の言及はせず、次の一手を切り出す。
「……君たちの考えはわかった。では“もう一人のバディ”からも話を聞かせてもらえないかな？」
「ッ！　貴様、どこまで知っている」
　アレクは威圧するように語気を強めるが、キョウヤは余裕の表情を保ったままだ。
「アンク王国については、それなりに調べさせてもらったよ」
「ならん。彼には我がアンク王国の守護神としての責務がある。貴様ごときのために呼び出すなど――」

「いや、私も言葉を紡ごう」

　声と同時、広間に雷光が広がった。
　光が収まると、アレクの横に雷を纏いし竜人が立っていた。
「私の名は《雷神 ボルテック・ラー》。話は聞かせてもらった。キョウヤとやら、貴殿の問いには私が答えよう」
「いいのか、ラーよ。父上の許可なく地上に姿を現すなど」
「よい。この者の誤解を解くことは、アンク王国にとって重要なことだと私が判断した」
　不満げなアレクから、ラーはキョウヤに向き直る。
「私たち三神がアンク王国に仕えるのは、この世界に迫る悪意に対抗するための力を育てるためだ。その力を有する者が、アンク王家には必ず誕生する。故に私たちは、アンク王国と共にある」
「対抗する力とは？」
「“未来の力”と言えば、貴殿には伝わるであろう」
「……っ！」
　キョウヤの表情に初めて動揺が走る。
　その言葉が意味する力は、彼とは因縁深いものだったからだ。
　キョウヤは少し考えこむと、何かに納得したように頷く。
「……ありがとう。どうやら、私の思い違いだったようだ。また別の手掛かりを追うことにするよ。では、私はこれにて失礼する」
　キョウヤはアレクに一礼する。
　そのまますぐに踵を返そうとするが、それをアレクが呼び止めた。
「まて」
「……君たちに対する非礼は詫びよう。他になにかあるかい？」
「非礼を詫びるというのなら、余とバディファイトをせよ」
「ほう、なぜだい？」
「貴様があの臥炎キョウヤである以上の理由が必要か？」
「……フフ。いいだろう」
　アレクが合図をすると、広間はすぐさまファイトステージへと姿を変えた。Ⅴボードが両者の元に現れ、アレクとキョウヤはルミナイズする。

「天地を引き裂く雷鳴と共に、余の伝説が幕を開ける！　ルミナイズ！　レジェンドオブトリプルゴッド！」

「太陽が照らしたこの世界で、私はなろう。未来の創造者に。ルミナイズ！　贖罪の翼！」

「「バディーファイッ！　オープン・ザ・フラッグ！」」
　アレクがフラッグを表にする。
「レジェンドワールド！」
　続いて、キョウヤがフラッグを表にする。
「ドラゴンアイン！」
　こうして、２人のファイトが始まった。

「余のターン。ドロー、チャージ＆ドロー。ゲージ１を払い装備、《絶対の王座 ヒエラティック・スローン》。その効果により、デッキの上５枚から《氷神 フリーザ・ホルス》を手札に加える」
　アレクは、新たに出現した黄金の王座に腰かける。
　その後、手札から２枚のカードを指で挟み、見せつけるように天に掲げた。
「ダブルバディコール！　ゲージ２を払い、《氷神 フリーザ・ホルス》！　《炎神 マグマ・ホルス》！」
「待ってたぜ！」
「……いくよ」
　氷神と炎神が、ライトエリアとレフトエリアに出現する。
「ダブルバディギフト！　ライフを２回復し、２ドロー！」
　【アレクライフ・１０→１２】
「行け、マグマ・ホルス！」
「いくぜぇー！」
　アレクの号令で、マグマ・ホルスが飛翔する。
　空中を旋回し、急降下してキョウヤに体当たりした。
「くっ……！」
　【キョウヤライフ・１２→１０】
「余のターンは終了だ」

「では、私のターン。ドロー、チャージ＆ドロー。連続キャスト、《竜王伝》《天竜開闢》《天竜神明》」
　【キョウヤライフ・１０→８】
　キョウヤは一気に魔法カードを使い、手札を増やす。
「さて、王座には玉座で対抗しようか。キャスト、《ドラゴンスローン 竜の玉座》を設置。このカードにより、私は合計サイズ４までモンスターを出すことができる」
　禍々しい３つ首の竜をかたどった玉座が出現する。
　キョウヤもそこへ腰かけると、３枚のカードを一気に出した。
「ゲージ１を払い、《贖罪の煉獄騎士団団長 オルコスソード・ドラゴン》をライト、《煉獄騎士団 ネクロパーム・ドラゴン》をセンター、《新生煉獄騎士団 ホーリーグレイブ・ドラゴン》をレフトにコール！」
　鎧を身に着けた３体の白竜が出現する。
「オルコスソード、ファイターをアタック」
「御意」
　オルコスソードが大剣を振るい、アレクに肉薄した。
「ライフ１を払い、キャスト。《リテイナルシールド 家臣の盾》」
　【アレクライフ・１２→１１】
　オルコスソードの攻撃は、空中に出現した巨大な盾に阻まれた。
「さらに、リテイナルシールドは手札１枚を捨てることで、余の手札に戻る。捨てるのは《献身のミイラ師 ジュサ・ラーシュ》。その効果により、ゲージ＋２だ」
「なるほど。手札がある限り使い続けられる防御魔法か。でも、いつまでライフを払い続けられるかな？　オルコスソードの２回攻撃で、ファイターをアタック！」
「キャスト！　リテイナルシールド！」
　【アレクライフ・１１→１０】
「手札を１枚捨てる」
　リテイナルシールドが再びアレクの手札に戻る。
「次はホーリーグレイブでファイターをアタック！」
「リテイナルシールド！　手札を１枚捨てる」
　【アレクライフ・１０→９】
「続けてネクロパームでファイターをアタック！」
「これ以上はやらせん。ゲージ１を払い、キャスト！　《バディブロック!》！　このターン中、余は攻撃によるダメージを受けない」
　ネクロパームの攻撃は、アレクの前に出現した障壁に阻まれた。
「なら、オルコスソードの能力発動！　ホーリーグレイブを破壊しソウルに入れて、自身をスタンドする。さらに、ホーリーグレイブの効果と合わせて２ドローだ」
　オルコスソードが再び戦闘態勢に入る。
　その剣先が捉えるのは、アレクのライトエリア。
「オルコスソード、マグマ・ホルスをアタック！」
「我が贖罪の剣にて、斬る」
「ちっきしょう……！」
　オルコスソードの大剣がマグマ・ホルスを両断した。
「再びオルコスソードの能力発動！　ネクロパームを破壊しソウルに入れて、スタンドする。さらに１ドローし、ネクロパームの効果でドロップから《新生煉獄騎士団 ニードルクロー・ドラゴン》をレフトにコール」
　新たな白竜がレフトに登場した。オルコスソードとニードルクローは互いに武器を構えると、今度はアレクのレフトエリアをその目に捉える。
「オルコスソードとニードルクローで、フリーザ・ホルスに連携攻撃！」
「行くぞ」
「承知！」
　２体の竜人の攻撃が、フリーザ・ホルスに直撃する。
「無念……」
　フリーザ・ホルスが破壊され、アレクの場にモンスターがいなくなった。
「これ以上攻撃しても意味はないけれど、オルコスソードの能力発動。ニードルクローを破壊しソウルに入れて、スタンド。さらに効果で１ドローし、ゲージ＋２、ライフ＋２」
　【キョウヤライフ・８→１０】
「これで私のターンは終了だよ」

「余のターン。ドロー、チャージ＆ドロー。ヒエラティック・スローンの効果により、デッキの上５枚から、マグマ・ホルスを手札に加える」
　カードを手札に加えると、アレクは笑みをこぼした。
「貴様は運がいい」
「ほう」
「アンク王国の守護神たるラーの姿を見るだけでなく、その神威すら目に焼き付けることになるのだからな。キャスト、《ティ・ジュ・マウ》。その効果により、我がバディコールを再び可能とし、デッキからフリーザ・ホルス、そして《雷神 ボルテック・ラー》を手札に加える！」
　アレクの手札に、ついに三神が揃う。

「さぁ、刮目せよ！　これが次期国王となる、アレクサンドル・アンクの力！　神をも従える王の威光である！」

　アレクが３枚のカードを掲げると、突如ファイトフィールド全体が凍り付いた。かと思えば、次の瞬間には炎が広がり、溶けた氷は水蒸気となって広間に暗雲を作り出す。暗雲からは雷鳴が唸りを上げ、閃光と共に雷が落ちる。
「これは……！？」
　本来、バディファイト中の攻撃や効果は、現実のものには影響を及ぼさない。ダメージはあくまで仮想のエフェクトであり、人も物も傷つかないはずだった。
　だが、今ファイトステージを覆う氷は広間の壁を傷つけ、炎は床を焦がし、落雷は柱を砕いていた。
「あ、アレク様！　これ以上は！」
「うるさい！　この男は余が全力を出すに値する男だ！」
　控えていた召使いたちがアレクを止めようとするも、天を裂くような一喝により一蹴される。
　キョウヤはその光景を見て、なぜか嬉しそうな笑みをこぼした。
「この力は、間違いない……フューチャーフォース……！」
　さきほどまで短かったアレクの髪はいつの間にか伸び、ファイトフィールドを吹き抜ける風を受けてなびいている。

「トリプルバディコール！　ゲージ２を払い、《雷神 ボルテック・ラー》！　《氷神 フリーザ・ホルス》！　《炎神 マグマ・ホルス》！」

　三神がファイトフィールドに降臨する。それと同時、空中にはホルスの目が３つ出現し、キョウヤとオルコスソードを見下ろす。三神とも、まるでさっきまでとは別のモンスターかのような神気をまとっていた。
「トリプルバディギフト！　ライフを３回復。さらに、オルコスソードを破壊し、２ドローだ！」
　【アレクライフ・９→１２】
　ホルスの目から放たれた光線が、オルコスソードを焼き尽くす。
「ソウルガード！」
　オルコスソードはソウルガードの能力で場に留まった。
「ラーの神威により、三神は攻撃力＋１００００、打撃力＋１、貫通を得る。さらに、マグマ・ホルスの神威により３回攻撃を得て、フリーザ・ホルスの神威により効果破壊を無効とする。これが、我がバディの真の力である！」
「認めよう。君は確かに、神に選ばれし人間だ」
「余とバディの力、その身で受けるがいい！　ボルテック・ラー、フリーザ・ホルス、マグマ・ホルス、ファイターをアタックせよ！」
　アレクの声と同時、三神から炎と氷と雷が放たれ、螺旋となってキョウヤを襲う。
「キャスト！　《誇りを剣に、刃は不滅》。攻撃を無効にし、オルコスソードを破壊することで、ライフ＋２し、相手にダメージ２を与える」
　【キョウヤライフ・１０→１２】
　【アレクライフ・１２→１０】
　キョウヤの魔法が螺旋状の攻撃を弾き、その一部がアレクに跳ね返って頬をかすめた。
「悪あがきを」
「最後まで諦めないことを、“太陽”から教わったものでね」
「ふん。２回攻撃だ！」
　再び三神の攻撃が繰り出される。
　今度は弾かれることもなく、その攻撃はキョウヤに直撃した。
「ぐあああああああ！」
　【キョウヤライフ。１０→１】
「トドメだ！　ボルテック・ラーよ！」
「神なる雷を受けよ！」
　ボルテック・ラーが杖を天に掲げると、そこにいくつもの雷が落ちた。杖は雷を吸収し、巨大なエネルギーに変換する。ボルテック・ラーは杖を振るい、そのエネルギーをキョウヤに向けて放った。
「君とファイト出来てよかったよ――」
　【キョウヤライフ・１→０】
　目も開けていられぬほどの雷光が、ファイトステージを埋め尽くした。

◇ 　　　　◇　　　　　◇

「ありがとう。いいものを見せてもらった」
　キョウヤはコートについた埃を掃うと、アレクに礼を言う。
「ふん。あの攻撃を受けて余裕とはな」
「幸い、私にも君とは“別”の力があってね」
「どこまでも底知れぬ男よ」
「それはお互い様じゃないかな」
　少しの沈黙の後、キョウヤは踵を返す。
「では、私はこれで」
　出口の扉に手をかけて、そこで止まった。
「ああ。最後に一つだけ、訂正させてもらってもいいかな」
「ん？　なんだ」
「私は“世界を壊そうとした”のではなく“世界を変えようとした”んだよ」
「……そうか。覚えておこう」
　扉が開かれ、キョウヤは今度こそ広間を後にした。
　荒れ果てた広間に残ったアレクは、しばらくの間玉座に座ったまま、突然現れて帰っていったその男のことに考えを巡らせていた。
「……バディなしで、このオレを本気にさせるとはな。……いや、本気にさせられた、のか」
　アレクは冷静になるにつれ、自分はキョウヤにあの力を“出させられた”のだと強く思った。あの力を最初に使ったのは数年前。それからは、出そうと思っても出せなかった。
　だが、ついさっき、あの力は再び発現した。
「臥炎キョウヤ、か」
　アレクは自分の手のひらを見つめる。
　どこまでがキョウヤの思惑通りだったのか。
　次に会う機会があれば、今度はあの男と対等に駆け引きがしたいと、アレクは心の底で闘志を燃やした。

　この二人の邂逅は、ワールド・バディ・アカデミアが設立されるより少し前のことである。

 

　終

 

＜文：校條春＞

 

《雷神 ボルテック・ラー》は神バディファイト ブースターパック 第6弾「天翔ける超神竜」に収録！