バディファイト外伝 「帝都 ていと クウ」

バディファイト外伝 「帝都クウ」

 

 超ロボット。

 それは、近年増加の一途をたどる異世界の脅威から地球を守るため、バディポリスとヒーローワールドにより組織された、揺るがぬ勇気と熱き魂を持つ、スーパーロボット軍団である!!!!!!

◇     ◇     ◇

「ちっ、逃げ切れねぇか」
 路地裏に追い詰められた髭の男は、舌打ち交じりに振り返る。その前には、左腕を腰に当て、右腕で髭の男を指さす背丈の低い少女が一人。
「そこまでであります! 観念してお縄につくであります!」
「……あん? なんだ、てっきりバディポリスの連中に見つかっちまったと思ったが、よく見りゃガキが一匹だけじゃねぇか」
「なっ!? ガキじゃないであります! 自分の名前は《帝都クウ》、立派なバディポリス隊員であります!」
「あーはいはい、バディポリスごっこならお友だちとやりましょうねー」
「ご、ごっこじゃないであります!」
「はいはいそうだねー」
「ムキー! この男ムカつくであります! 逮捕であります!」
「じゃ、俺は忙しいんで」
「待て。お前には、数多くのイリーガルモンスターと内通し、無断で異界とのゲートに干渉した容疑がかけられている。一緒にバディポリス本部まで来てもらおう」
 髭の男がそそくさとクウの脇を通ろうとすると、どこからともなく、青年の声がした。
「!? お前は、カードバーンか!?」
 髭の男の表情が一気に強張る。
 それもそのはず。
 少女、帝都クウの肩に乗った小さい人型ロボットの名はカードバーン。長年バディポリスに協力する、正義の心を持ったブレイブマシンだ。普段は邪魔になるため、その体を小さくしているが、本来の姿は人間より遥かに大きい。
「すでに証拠も挙がっております。おとなしくした方が、後々有利ですよ」
 さらに、また別の声がした。今度は透き通った女性の声だ。
「……そっちはサツキか。ちっ、本当にバディポリスかよ。しかも、よりにもよって精鋭部隊じゃねぇか」
 クウの隣で浮いているタブレット状のロボットの名は、暦級五番艦サツキ。カードバーンと同様、今の外見は仮の姿であり、本来は数多くのロボットを収容できるほどの巨大戦艦である。
 カードバーンとサツキ。
どちらも、バディポリスと同盟を結んだ超有名モンスターだ。
「ふっふーん、ようやく自分のすごさがわかったでありますか!」
「で、なんでその二人が子供のお守りをやってんだ?」
「子供じゃないであります! 立派なレディであります!」
「提督、その言い方ではご自分が子供であることをより助長するだけかと」
「うるさいであります! サツキは黙ってるであります!」
「申し訳ございません、つい事実を」
「一言余計であります!」
「クウ、サツキ、言い争っている場合ではない。ヤツが逃げるぞ」
 カードバーンの声で二人が振り向くと、男は塀をのぼって逃げようとしていた。
「逃がさないであります! バディポリス結界、発動であります!」
 クウが言うと同時、地球の衛星軌道上に浮かぶバディポリスの人工衛星から、光の柱が地上に落ちる。その光は結界となり、クウと髭の男を取り囲んで逃げ場をなくす。

「お前が取れる行動は2つに1つであります! おとなしく捕まるか、足掻いて捕まるかであります!」

「結局捕まってんじゃねーか!! なら、俺は第3の選択肢、貴様をぶっ倒して逃げ切るを選ぶぜ!!!」
 男はデッキを取り出し、クウに突きつける。
「させないであります!」
 クウも自らのデッキを取り出した。すると、結界内はファイトステージへと変化する。Ⅴボードが手元に現れると同時、両者共にルミナイズした。

「世界を守護するロボット軍団、出撃であります! ルミナイズ! 大帝都・超友機隊!」

「地獄の底から貴様を喰らう! ルミナイズ、地獄の業火!」

「「バディーファイッ! オープン・ザ・フラッグ!」」
 髭の男がフラッグを表にする。
「灼熱地獄!」
 続いて、クウがフラッグを表にする。
「ヒーローワールド!」

 クウの先攻。
「自分のターンであります! ドロー、チャージ&ドロー! 早速行くでありますよ、サツキ!」
「お任せください」
「ゲージ3を払い、《超友戦艦 サツキ》の提督に着任するであります!」
 【クウライフ・10→11】
 クウがカードを天に掲げると、タブレット状で隣に浮いていたサツキは一瞬で姿を消す。その直後、ファイトステージにとてつもない大きさの影がかかる。髭の男が見上げると、上空には、空を覆うほどの巨大な戦艦が浮いていた。
「こ、これが噂に聞く、サツキ……!?」
 髭の男が、そのあまりのスケールに狼狽していると、サツキから地上のクウに向けて一本の光が下ろされる。その光がクウを覆うと、クウは一瞬でサツキの内部、指令室まで転送された。
「提督の着任を確認。サツキ、出航」
「まだまだ行くであります! キャスト! 《ハイパーエナジー》! ゲージを+4するであります! さぁ、アタックフェイズであります!」
「第1から第6までの地上迎撃システム起動。全弾薬装填完了。全エネルギー充填完了。目標、敵ファイター。全システム異常なし。いつでもいけます」
「ファイターをアタックであります!」
「攻撃開始!」
 サツキの下部からミサイルの雨が降り注ぎ、髭の男を襲う。
 だが、
「デッキの上から3枚を捨て、キャスト! シャドウ・クルセイダー! ダメージを3減らす!」
 放たれた無数のミサイルを受けた髭の男は影と消え、無傷の状態で別の場所に現れた。
「その攻撃はオレには届かなかったようだな」
「自分のターンは終了であります」

「次はオレのターンだ! ドロー! チャージ&ドロー! へへ、そのでっかい図体、地獄の業火で焼き尽くしてやるぜ! 連続キャスト! 《裁きの門‐ジャッジメント‐》、《ダミアンズ・ディシジョン》、《黒獣闘法》、《リトル・ライト》! さらにコール、《乱獲の獄卒 走狗》! ドロップの《破滅の門‐グリード‐》を効果により設置!」
 【髭の男ライフ・8→9】
 髭の男は手札のカードを次々とキャストし、その効果でゲージと手札とライフを増やしつつ、一気にドロップにカードを貯め込む。
「さぁ、あとはこいつで貴様を喰らい尽してやるぜぇ! ゲージ3を払い、走狗をソウルに入れて《獄熱業火の地獄竜 ガガルガリオス》をセンターにバディコール!」
 【髭の男ライフ・9→10】
 地響きと共にセンターエリアに亀裂が入る。裂け目からはドロドロに溶けたマグマが噴き出し、周囲を染め上げていく。ついにセンターエリアは完全に溶け、大地の底から灼熱の黒竜が姿を現した。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「いくぞ、アタックフェイズだ! ガガルガリオスでファイターをアタック! 効果でデッキの上から2枚をドロップに置き、ゲージ+1! これによりオレのドロップの枚数が25枚以上になったことで、さらに2ダメージを与える!」
「きゃあああ!」
 【クウライフ11→6】
 ガガルガリオスの口から放たれた灼熱弾が、空に浮かぶサツキを直撃する。
「2回攻撃!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
「ぐっ……た、耐えるであります!」
 【クウライフ・6→1】
 ガガルガリオスの次弾がサツキの巨体を揺らし、指令室にいるクウも体勢を崩す。
「こいつで終わりだ! ファイナルフェイズ! 必殺コール! ゲージ3を払い、ガガルガリオスを必殺モンスターに! 《ガガルガリオス “焦炎獄熱魔波!”》!!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
 地の底から響提督な咆哮と共に、ガガルガリオスがその巨大な口内で灼熱を生み出す。その熱は急速に肥大化し、サツキをも凌駕するほどの熱球と化す。
「こいつを喰らいやがれ!」
「く、力を貸してほしいであります! キャスト! 《させる…ものか!!》、であります!」
 ガガルガリオスから熱球が放たれる直前、サツキから1機のロボットが飛び出した。
 次の瞬間、最大級に膨らんだ熱球がサツキを襲うが――

「ここは通さん!!!」

 鋼のボディに「友」の文字。
 ヒーローワールドが誇る鉄の獣、《ガイテンオウ》がサツキと熱球の間に入った。
「はあああああぁぁぁぁぁ!!」
 ガイテンオウはその鋼の腕で、自身の何倍もある熱球を受け止めた。次第にその体は溶け始め、四肢は限界を超えて崩れていく。
「ガイテンオウ! 頑張るであります!」
「ここは必ず……抑えてみせる……! 艦長は、我々の勝利のことだけを考えるんだ!」
「……わかったであります!」

「鋼の軋り、獣の呻り! 咆えろ、ガイテンオウ!!!!」

 ついに、熱球は自身の熱量に耐え切れず、空中で大爆発を起こした。その爆風でサツキの巨体は傾き、髭の男は立っていられずに膝をつく。
 ――しばらくして音と風が収まる。サツキとクウは負傷しながらも、なんとかライフ1のまま踏みとどまっていた。だが、ガイテンオウの姿はどこにもない。
「……ガイテンオウ、ありがとうであります。このファイト、必ず勝つであります!」
「ちっ、ガガルガリオスの攻撃力を下げて生き残ったか。オレのターンは終了だ」

「自分のターン、ドロー! チャージ&ドロー! サツキ、ガガルガリオスを攻撃開始であります!」
「了解しました。目標ガガルガリオス、攻撃開始」
 サツキから放たれたミサイル群がガガルガリオスを爆撃し、木っ端微塵に破壊する。
「グァァァァァ……!」
「貫通であります!」
 残ったミサイルが今度は髭の男に迫るが、
「オレの場に破滅の門がある限り、オレが受けるダメージは全て1になる!」
 【髭の男ライフ・10→9】
 破滅の門から溢れ出る瘴気がミサイルの威力を弱めた。
「なら、何度でも攻撃するだけであります! サツキ、2回攻撃!」
「次弾発射」
 【髭の男ライフ・9→8】
「まだまだ行くであります! “超友機隊”、出撃! サツキから、《超友戦闘詩人 トーキング》をレフトにコール!」
 クウの指令と共に、サツキからまた1機のロボットが出撃する。
 深紅のボディに「友」の文字。パイロットの言葉を力に変えて戦うロボット、戦闘詩人トーキングである。
「トーキング、出撃完了! 支持をくれ、艦長!」
「ファイターをアタックであります!」
「了解したぜ! くらえぇ! ランゲージナックゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」
 【髭の男ライフ8→7】
 トーキングの正拳突きから放たれた衝撃波も、溢れ出る瘴気によって威力が極限まで弱まる。
「2回攻撃であります!」
「もう一撃だぁ!!!!」
 【髭の男ライフ・7→6】
「アタックフェイズはまだまだ終わらないであります! ゲージ1を払い、《超友変形 ウイニング・マキシマム》をライトにコール!」
「私も共に戦おう!」
 青いボディに「友」の文字。
 車両型から人型へと変形して戦うロボット、ライドチェンジャーの隊長であるウイニング・マキシマムが、サツキから地上へと降りてくる。
「ウイニング・マキシマム、ファイターをアタックであります!」
「いくぞ!」
 ウイニング・マキシマムは車両形態へと変形すると一気に髭の男との距離を詰め、衝突する寸前で再び人型に変形して、その勢いのままパンチを繰り出した。
「たぁぁぁっ!」
「くっ……!」
 【髭の男ライフ6→5】
 だが、その拳も瘴気に阻まれ、まともに当たりはしなかった。
 それでも、ウイニング・マキシマムは攻撃の手を緩めない。
「2回攻撃!」
 【髭の男ライフ5→4】
「3回攻撃!」
 【髭の男ライフ・4→3】
「4回攻撃」
 【髭の男ライフ・3→2】
「ぐぅぅ……くそ、何回攻撃してくるんだアイツらは……!」 
「もちろん、悪が滅びるまでであります! ゲージ2を払い《超友合体 アルティメット・カードバーン》をセンターにコール!」
 サツキから小型のロボットが3機出撃する
「いくぞ、カードライノ、カードサーペント!」
「合体開始ッス!」
「オレのスピードに遅れるなよ!」
 3機はそれぞれ変形して各パーツとなり、1機の巨大ロボットへと合体を果たす。

「超戦符合体! アルティメット・カードバァァァァンッ!!」

「アルティメット・カードバーン、一緒に戦ってほしいであります!」
「もちろん! この世界の平和を共に守るために集結したのが、我々“超友機隊”のロボットだ! 我が一撃で、眼前の悪を断って見せよう!」
「感謝するであります……アルティメット・カードバーンで、ファイターをアタックであります!」
「はぁぁぁ!!」
 アルティメット・カードバーンの剣が髭の男を斬りつける。その攻撃も瘴気によって弱まるが、しかし、今までのダメージの蓄積で髭の男はとうとう追い詰められる。
 【髭の男ライフ・2→1】
「ぐはっ……くそ、くそ、こんなはずじゃ……!」
「これで終わりであります! 正義は必ず勝つ、それがこの世界の決まりなのであります! アルティメット・カードバーン、ラストアタックであります!」
「お前の知っていること、関わったモンスター、その手口、洗いざらいバディポリスに話してもらおう」
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!」
 髭の男は逃げようとするが、バディポリス結界に入ったものは、ファイトが終わらない限り出ることはできない。そして、ファイトが終わる時、それは犯人が捕まっている時なのだ。

「いくぞ! 必殺、ソード・スラッシャァァァァー!!!!」

 アルティメット・カードバーンの声と共に、炎を纏った一振りの大剣が振り下ろされ、破滅の門もろとも髭の男を両断した。
「ぐわああああああああああああああ……っ!」
 【髭の男ライフ・1→0】

◇     ◇     ◇

「カードバーン、今日も助かったであります。礼を言うであります」
「いや、私たちこそ礼を言おう。クウとサツキがいたからこそ、我々は集まり、協力し合うことできる。それに、古くからの協力者であり、我が最大の友人でもある滝原からも、よろしくと言われているからな」
「滝原さんからも……!?」
「滝原はクウのことをよく話す。とても優秀な隊員だと」
「そ、それほどでもないであります……」
「そんなことはない。私たちも、何ごとも恐れずに立ち向かうクウの勇気と正義の心に、自らの意志で協力したいと思った。それは間違いのないことだ」
「そうですよ提督。自信を持ってください」
「カードバーン、サツキ……ありがとうであります!」
 クウとカードバーンは互いに頷くと、固く握手を交わした。

 超ロボット。

 それは、いつでも一生懸命な地球の少女と、正義の心を持つヒーローワールドのロボットたちが「友情」によって結ばれた、最強のロボット軍団である!!!!!!

 

 終

 

<文:校條春>

 

《超友戦艦 サツキ》と《超友合体 アルティメット・カードバーン》は神バディファイト アルティメットブースター第5弾「バディアゲイン Vol.2 スーパーバディ大戦EX」に収録!

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